鉄道複雑地帯in奥羽本線~その2
前回の続きです。
峰吉川駅から大曲駅に向かって列車に乗りこみます。
峰吉川駅舎。
よく見ると跨線橋が外の駐車場に出られるようになっており
実は本屋改札を通らなくても駅の外へ出られるようになっているのです。
跨線橋の反対側にも出られるようになっています。
自由通路(横断歩道橋)を兼ねているのが実態のようです。
もはや駅を指し示す表示も何もなく、秘密基地への入り口みたいですね。
地方の駅は未だに自由通路がないのにホーム直結の改札口一カ所しかない駅が多く
駅の反対側に行くのに苦労する場面が多々あります。
それを考えると人にやさしく、また実用的な構造といえます。
不正乗車が懸念されますが、その辺りは利用者の良心に任されているのでしょうか。
この区間はもともと単純な狭軌のみの複線区間でした。
そのころは単純な相対式ホームだったのでしょうが新幹線の乗り入れに伴い
標準軌との単線並列構造になり、手前側のホームはお役御免になりました。
標準軌をどちら側に走らせるかは大曲や秋田の構造を考慮して決定されたのでしょうが
峰吉川駅にとっては本屋改札を抜けてすぐに電車に乗れる利便性は失われたことになります。
出発後すぐに標準軌の線路が合流してきます。
但し、標準軌車両(つまりE6系)が右側通行をすることはないようです。
刈和野駅に差し掛かります。
交換列車はありませんが制限のない直線側に行くのではなく律儀に左側通行をするようです。
かつて中線であったところに狭軌のみ分岐する構造だと分岐器のつくりも単純化できます。
(安全側線があるので結論は変わらなそうですが、それでも駅の大曲駅方の安全側線は狭軌だけで単純)
レールのパーツでいうと、普通の狭軌線の分岐があって、外側にレールが追加されただけだからです。
豪雪地帯なので可動部やレール交叉部を減らすことにより異物(雪塊)が介在するリスクを減らせます。
単線並列において標準軌線を左右いずれに配置するかはこのような観点も考慮されたのでしょうか。
この進路に標準軌線路が介在していると車両中心がホームよりにずれ、確実にホームにぶつかります。
車両中心を反対側にずらすため3線軌条渡りと呼ばれるポイントを追加することもできます。
実際に京急六浦駅にこのポイントはありますが、営業列車に対して減速を強いる構造は適切ではありません。
京急の場合は対象となる列車は甲種輸送列車のみのため問題はないのです。
秋田行きのこまちがやってきました。
大曲に向かう普通列車は右側通行ですし、すれ違う列車も右側通行になります。
こまち同士のすれ違いがないときは秋田方面のこまちも右側通行を続け、
狭軌との共用線路は走行しません。
大曲駅に近づきました。
一番左の線路は盛岡からの田沢湖線で、当然標準軌です。
真ん中の線路は秋田から並走してきた標準軌の線路、
そして右の線路は狭軌の奥羽本線の線路です。
かつての奥羽本線の複線は素直に大曲駅に吸い込まれていたのでしょう。
標準軌は不自然なカーブを描いてかつての副本線側に吸い込まれていきます。
右側の島式ホームが新幹線専用ホームで、改札口が別になっています。
盛岡方面と秋田方面の出入りを同時にこなせる構造なのですが
行き先別にホームが固定されているので同時に処理できるのは到着時のみです。
田沢湖線の普通列車は奥羽本線上り列車の向かい側ホームに発着します。
右側に見えているのが新幹線ホームで、701系の隣が秋田からの仙台・東京行き専用ホームです。
単線の田沢湖線は全て標準軌に改軌されたため、普通列車も専用の701系5000番台を使用します。
発着時はすべての場合においてこまちの動線を支障するため同時発着はできません。
とはいえ本数は少ないため、奥羽本線とホーム上乗り換えができるこの構造が最適といえます。
なお、標準軌車両による普通列車の秋田方面への運転はありません。
狭軌の701系にはステップがありホームから地上までの高さは低いです。
(上写真を見ると機器がホームから見える)
しかし標準軌の701系5000番台は新幹線車両に合わせホームから地上までの高さが
首都圏などの電車と同じでステップレス構造になっています。
このホームは左右で線路までの高さが異なる構造になっており、珍しい構造です。
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